
アクラブメソッドはプールという地上と異なる独特な環境で、体幹を鍛えながらバランス機能を整えるプログラムです。
このバランス機能を司るのは、「筋肉が伸ばされると縮もうとする反応」、いわゆる「伸張反射」です。これは、運動の土台となる最も基本的な身体調整機能であり、この反応をうまく調整できるかどうかが、あらゆる運動能力の差を生む要因となります。
アクラブのレッスンでは水泳技術の習得だけでなく、伸張反射を調整する力を育みます。幼少期から伸張反射を鍛えることで、様々なスポーツに役立つ能力を自然と身につけることができます。
近年、サッカーの指導現場などで「ゴールデンエイジ」という言葉がよく聞かれるようになりました。これは、アメリカの医学者Scammon,Richard Everingham(1883-1952)が1928年に発表した「スキャモンの発達曲線」に基づいています。この理論は、人の身体機能が年齢とともにどのように成長するかを、一般型・リンパ型・生殖型・神経型の4分類に分け、グラフ化したものです。アクラブの水泳指導法は、1966年の開校以来その原点をこの理論に拠っています。
スキャモンの理論によると5才程度で神経型は成人の80%程度までに達するので、その前後に色々な動作を経験し器用さの土台作りが大切です。
一流の音楽家や運動選手になるには、幼児期からその楽器なりスポーツなりに関わることが必要です。一流を目指すわけではないふつうのお子様にとっても、幼児期の経験が先天的な資質にプラスαをもたらします。
運動が得意な子は更に得意に、元来運動が苦手な子も、幼児期の適切な経験を経ることで、運動の成果を普通に期待することができます。

1966年、日本で初めて専用プールを備えたスイミングスクールとして発足したアクラブは、この理論を原点としています。心身ともに逞しい子どもを育成すること、そして1964年の東京オリンピックでの惨敗を踏まえ、世界に通用する水泳選手を育てるための方法を模索してきました。
そのためには、単にトップ選手の泳ぎを真似るのではなく、発育発達の段階に応じて、「発達に必要なスキルを、最適な時期に身に付けること」が何より大切だったのです。
運動神経の土台になるのは、最も原始的、基本的な身体調整機能である「伸張反射」、つまり筋肉が伸ばされると縮もうとする働きです。すべての運動スキル(高度な動作だけでなく無意識の身体動作も)は、この「反射」によって支えられています。
その調整が巧いか否かが一流アスリートとなるか、そうでないかの大きな分かれ道です。反射調整の巧拙とは、運動神経の良し悪しと言い換えることができます。そして、反射機能を調整し、運動神経を鍛えるに最も適しているのが、スキャンモンの発達曲線で分かるように小学校入学前の幼児期です。
水泳の指導では、手足をどう動かすかにばかり注目されがちですが、アクラブでは「いかに動かさないか?」にも重点を置いています。幼児が潜ったり飛び込んだり、バタ足で進めるようになると、「ジッとして!動かない!」という指導が入ります。これは、電車やバスの中で吊革に掴まらずに立つ難しさを連想させるものです。初めは、両足を広げて踏ん張りながら前後左右に動くことでバランスを保ち、次第に足を動かさずに立てるようになる過程があります。こうした体験を通じて、足腰中心の伸張反射が調整され、運動神経が着実に発達していくと考えられています。
プールは、この「不安定な環境」を利用できる貴重な場所です。水底に立つだけで感じるフラフラ感、そして足を離して浮かぶときの強い不安定さは、日常生活では得にくい体験です。この体験を重ねることで、伸張反射が調整され、運動神経は水泳の技術習得に留まらず、他のスポーツや突発的な状況での身体の対応力にも効果をもたらします。アクラブの水泳練習は、泳げるようになることとともに、将来に向けた運動神経の発達、すなわち器用さの向上を目指しているのです。

若い頃は、電車内で掴まらなくても自然に立っていられたものですが、加齢とともに「吊革や手すりに頼らなければ立てない」という現実に直面する方も多いでしょう。しかし、日々の努力次第で「老化を下支え」し、健やかに年齢を重ねることは可能です。
アクラブはそんな大人の皆様にも体験していただきたいプログラムを提供しています。アクラブメソッドは「バランストレーニング」とも言えます。電車内で転ばないようにバランスを取るのと同様に、プールではフラフラ感と向き合いながら、身体を上手に預ける技術を磨きます。もちろん幼児期の成長と同じようにはいきませんが、眠っていた運動神経が呼び覚まされ、伸張反射が調整されていくでしょう。
また、アクラブメソッドでのバランストレーニングは、いわゆる「コア」や「インナー」と呼ばれる胴体の筋肉を鍛えることにも直結します。水泳はもちろん、水中でのお散歩や水中体操、さらにはシンボリックなクラスである「フロートマジック」や「フロートヨガ」を通して、体全体のバランス感覚を養い、若々しさを取り戻すサポートをしています。