水面下にあるカラダは重力を殆ど受けません。水面上に出ているカラダは重力を受けます。水泳中、水面上に腕が出たり、頭が出たり、脚が出たり、目まぐるしく変わります。
背浮きから腕を鉛直に水面から伸ばしてキックをすると水上に出た腕に重力が掛かりますから、カラダが沈み易くなります。水上に出ている腕に体積分の重力を受けるからです。受けた重力は、カラダを沈めるように作用します。重力の中心と浮力の中心が一致するとカラダ全体が等しく沈みます。重力の中心よりも浮力の中心の方が前(頭)側にあれば脚が沈みやすくなりますし、浮力の中心の方が後ろ(脚)側にあれば頭が沈みやすくなります。水泳中にどうしても何れかが沈むのであれば脚よりも頭側が沈むほうが前傾姿勢がとれ、好ましいことです。
クロールで腕のリカバリーの前半では腕の重たさを前方に移動させていくことが可能ですが、リカバリーの後半では腕の重たさは脚の方に移動してしまいます。ですから、リカバリ−の前半はゆっくり、後半は素速く行います。リカバリーの前半は腕を伸ばしますが、後半は肘を曲げ回転径を短くし、腕の重たさの影響を最小限にします。
右側呼吸のとき、右腕がフィニッシュを終え水上に出たときに腕は重力を受けます。同時に頭が水上に出ると頭も重力を受けます。腕と頭とがそれぞれ重力を受けると、それによってカラダは大きく沈みます。これは好ましいことではありません。腕が水上に出て重力を受けるに連れて、水上に出ている頭が逆に水中に沈みこむことによって水上体積と水中体積とのバランスがとれ、カラダの無用な上下動を無くすことができます[写真1]。

このように水上にあるカラダには重力が作用しますから、何らかの影響が泳ぎに出ます。これが、進むにプラスに働けば良いのですが、マイナスに働くようならば是正しなくてはなりません。