「坊主頭をなでるように」とか「逆ハート型を描くように」などと説明された時期があります。その頃の水平姿勢のままで泳ぐ“フラット”泳法から、上下動の大きい1980年代の“シーホース(タツノオトシゴ)”泳法を経て、今ではスプリント距離を除いて“ウェイブ”が主体です。

より効率的な泳ぎを求めて大きく変わってきた平泳ぎは、“ウェイブ”の登場でほぼ完成されたと見ることができます。これはプルの変化に依ります。
平泳ぎのプルは、殆どが揚力によります(キャッチからフィニッシュまでの後方への手の移動が少ない)から掌の向きは非常に大切です。プルサイクルをアウトスカル、インスカル、リカバリーの3つに分けてみます。

アウトスカル(手を左右に開く)は、前傾姿勢を保ち沈み込みながら前方に進みますから掌は後ろ向き(前方への揚力発生)[写真(1)]。
インスカル(手を胸の前に揃える)は、顔上げ(呼吸)とウエィブ特有のカラダの持ち上がりのために掌は下向き(上方への揚力発生)[写真(2)]。
リカバリー(手を前方に戻す)では、無用な水没を防ぐ為に掌は下向きです[写真(3)]。

アウトスカル・インスカル・リカバリー、それぞれの掌の向きを基本として30度前後の迎角を作りながら手は動きます。