は じ め に
 『健康』のための運動とはいっても、漠然とした『健康』というだけでは、必ずしも長期にわたって継続することは容易ではありません。「やせるため」とか「キレイに泳げるように」とか「腰痛の予防」といったハッキリとした目的も必要でしょう。そんな目的に適うように、各章毎にテーマ設定をしています。


第7章 トレーニング
7-1 トレーニングの心構え

 本書は「長い距離を楽に速く」泳ぐことを目的としています。また、選手でない一般 の方を主な対象に考えています。その意味で練習方法の基本は「有酸素運動」です。血圧上昇のリスクを避けながら、20〜30才代から始まる老化進行の下支えをするという点において、有酸素運動はとても有効だからです。

適度な運動が心身の健康に資することは間違いありません。一方で「過ぎたるは……」という言葉があるように、闇雲にカラダを動かせばよいというものでもありません。何事でもすべてメリットとデメリットがあります。運動とて同じです。デメリットを極力減らし、且つメリットを最大限に生かす運動方法こそが、健康を保つことにもつながります。  


運動を実践するにあたっての私たちが忘れてはならない心構えを確認します。

1.自分の健康状態に過度の自信を持たないこと
2.高血圧など医学的に所見のある場合には、しっかりと自覚すること
3.定期的に健康診断を受け、客観的な健康状態を把握すること
4.運動中には常に心拍数を自己管理し、決して無理をしないこと

このことは自分自身のことというだけでなく、自分の周囲や社会に対する責任でもあります。次ページ以降には、有酸素、無酸素を含めて本格的なトレーニング方法を記しています。それぞれのトレーニング方法については、無理をせずに上手に活用してください。


7-2 心拍数管理

 運動の強度をしっかりと確認しながら練習をすることが大切です。運動強度を測る指標は数多くありますが、手軽さという点において「心拍数」が一番です。 まず、安静時の心拍数を測ってみます。畳や椅子に座ってテレビでも見ながら測ってみましょう。測り方は簡単です。頚動脈か胸、あるいは手首など脈を探し易い部位 に人差し指と中指の2本をあて、時計を見ながら6秒間測って10倍します。最初の1拍目は「0(ゼロ)」です。「1.2.3.4.5……」ではなく「0.1.2.3.4……」です。個人差がありますが、10倍すると60〜80程度のはずです。この数値があなたの安静時心拍数です。体調などで変化しますから、日常、心拍数を測る習慣を持ちましょう。

 運動をすると心拍数が上昇します。運動をすることによって筋肉内で酸素を消費するからです。必要な酸素は血液中の赤血球に乗って筋肉へ運ばれます。血液(酸素)を筋肉の隅々まで行き渡らせるために、ポンプである心臓は速く動きます(心拍数上昇)。
運動時の心拍数を測ってみます。とはいっても運動しながら心拍数を測ることは難しいですから、ちょっと立ち止まって、先程と同じ要領で測ります。やはり「0.1.2.3.4……」と6秒間測って10倍しましょう。のんびりと1分間測り続けるとそれはもう、運動時心拍数とは言えません。
運動時心拍数は安静時より高い数値です。運動強度が上がれば上がるほどそれに連れて心拍数は高くなります。運動強度に連れて心拍数が上がりますが、どこまでも際限なく上がるわけではありません。個人毎に「最高心拍数」が決まっています。

  最高心拍数は加齢と共に低下します。『最高心拍数―安静時心拍数=心臓の余力』 安静時心拍数は加齢に連れてさほどは変わりませんから、最高心拍数の低下は、心臓の余力の低下です。

 最高心拍数の目安は「220―年齢」といわれます。勿論、一般 的な値ですから、目安として考えてください。運動の強度に比例して心拍数が変化しますから、心拍数を測ることによって、逆に運動強度を知ることができます。 安静時心拍数から最高心拍数までのあいだで、どの程度の強度の運動をするかによって運動の効果 や目的は大きく異なってきます。


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