壁を蹴ってけのびをすると、初速は秒速3m以上にもなる事があります。競泳の世界記録よりも速いスピードですが、すぐに抵抗を受けて減速。10mを過ぎるころにはほとんど秒速は0mになります。壁を蹴った直後とスピードが落ちてからでは抵抗の受け方が違います。抵抗はスピードの二乗に比例して増加します。スピードが速ければ速いほど抵抗を受けないような流線形を作る事が大切です。スポーツカーや特急電車は抵抗軽減のための流線形をしていますが、トラックや普通列車は必ずしも流線形ではありません。スピードが2倍になると抵抗は4倍、スピードが3倍になると抵抗は9倍、スピードが4倍になれば抵抗は16倍にもなります。逆に、スピードが落ちることによって抵抗は、二次関数的に減少します。スピードが半分になると抵抗は4分の一、スピードが4分の一になると抵抗は16分の一です。
壁をけった直後は、前面からの形状抵抗をできるだけ減らすように流線形(けのびの姿勢)[写真1]を保ちます。しかし、その後スピードが落ちてからは、頭を少し起こし手先を下げて前傾姿勢(浮き身の姿勢)[写真2]を作ります。
泳ぎの中でも泳速が速くなるに連れて、前方に体重をかける浮き身の姿勢から抵抗を減らす流線形(けのびの姿勢)へと移行していきます。
※本書では、流線形を保つための「けのびの姿勢」、前傾姿勢を保つための「浮き身の姿勢」とし、区別しています。 |
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